吉都線と聞いてすぐに頭に描ける人はローカル線について、かなりの通な人といえよう。
九州の方でも意外と知らない人もいるのではないかというくらい、知名度はすくないだろう。ここは、森の豊かな山郷や.霧島を眺めることのできる、高台などを、走り抜けるローカル線ならではと、思わせる路線なのだ。
まずこのローカル線の地理案内をいたしましょう。吉都線の吉とは、吉松の吉で都は都城のことでここを結ぶこののどかなローカル線を吉都線と呼ぶのです。もちろんローカル線と呼ばれるにふさわしい単線で非電化で、国見山地の南端と霧島の北側にかこまれたカルデラ大地を走る自然あふれる美しい光景を、車内から望めるローカル線なのです。
まずは、このローカル線の起点の都城を、出ると大淀川の鉄橋を渡ると田園地帯が広がりしばらく進むと、東高崎に到着する。ここは無人駅だが、徒歩で7,8分のところに霧島六社権現のひとつの東霧島神社が存在する。ここの神社は、神武天皇を祀られているところで、厳粛な空気がただよっているように感じるのは、わたしだけではないだろう。また東高崎は星の良く見える町としても、有名なところで、ゆっくりとローカル線の旅をするひとなら、ここで天体観測というのも、いい思い出となるでしょう。
さらに吉都線を進むと無人駅がいくつも続く。このあたりから、霧島の山々がお目見えしてくるのである。なんとも神々やどるような、新聖なおもむきの山々なんだろう。なかでも高千穂峰だ。この山は天孫降臨の山で見るものを不思議と威圧してくるような、山にみてしまうのである。この山々をみながらいくつかの、無人駅を通り過ぎ、小林の駅に到着する。このローカル線の中間地点で唯一駅員のいる主要駅なのである。ここのホームからも霧島の山々が勇壮な景色を見せてくれる。
さらに吉都線は標高の高いほうへ登って行き、えびの飯野は登山口のあるところでこのローカル線の旅では、一番景色のいいところといえるでしょう。この景色や自然をゆっくりたのしみたいのなら、次の京町温泉駅で降りて一泊するのも、ローカル線の旅としてはいいだろう。このあとは鶴丸をすぎ、吉松で、このローカル線の旅の終点となるのです。
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